途中でつらくなるのは体力ではなく支える力|体幹という視点
息が上がるわけでもないのに、数分で姿勢がきつくなる。走り込みを増やしても変わらないのは、必要な力の種類が違うからです。
行為の途中で姿勢がつらくなる。息が上がっているわけではないのに、腕や腰が先に限界を迎える。この状態を体力不足だと考えて、走る量を増やす人がいます。
けれど必要なのは持久力ではなく、姿勢を保つ力です。種類が違うので、走っても解決しません。
二種類の疲れ方を分ける
まず、どちらの疲れ方をしているかを見ます。
| 疲れ方 | 内容 | 鍛える方向 |
|---|---|---|
| 息が上がる・心臓が速い | 持久力の問題 | 歩く・走る・自転車 |
| 腕・腰・脚が震える | 支える力の問題 | 筋力トレーニング |
| 途中で集中が切れる | 緊張と呼吸の問題 | 呼吸と力の抜き方 |
多くの相談は真ん中です。とくに上半身で体重を支える姿勢と、腰を浮かせて保つ姿勢で先に限界がきます。無理のない姿勢の選び方は体位を無理のなさで選ぶ、鍛える部位は下半身を鍛えると体位が楽になるにまとめています。
支える力は、動かさない種目で伸びる
体幹という言葉は曖昧に使われますが、ここで必要なのは、姿勢を崩さずに保つ力です。
有効なのは、動かさずに耐える種目です。
- 板のようにまっすぐ保つ姿勢を、30秒から
- 横向きで体を一直線に保つ姿勢を、左右それぞれ20秒から
- 四つん這いで、対角の手と脚を伸ばして止める
- あおむけで腰を持ち上げ、その位置で止める
回数より、フォームが崩れる直前でやめるほうが効きます。腰が反ったり落ちたりした時点で、その種目の目的からは外れています。
厚生労働省の身体活動・運動ガイドでも、成人に対して筋力トレーニングを週2〜3日取り入れることが推奨事項として示されています。毎日やる必要はありません。
ピラティスが噛み合う場面
ピラティスの多くの種目は、まさに「姿勢を保ったまま手足を動かす」構成になっています。腰の位置を保ちながら片脚を動かす、といった動きの積み重ねです。
自己流の筋力トレーニングと違うのは、姿勢が崩れたことを指摘してもらえる点です。支える力が足りない人ほど、崩れたことに気づかないまま回数をこなしてしまいます。
何が変わるか
支える力が戻ると、次のような変化があります。
- 同じ姿勢を保っていられる時間が延びる
- 途中で体勢を変える回数が減る
- 終わったあとに腰や腕に残る疲れが軽くなる
- 相手に体重を預けすぎずに済む
派手な変化ではありません。ただ、つらさで中断しないという条件は、集中を保つうえで大きな意味を持ちます。
支える力が落ちるのは、年齢だけが理由ではない
「歳のせいで続かなくなった」という受け止め方をよく聞きます。加齢の影響はありますが、それより大きいのは座っている時間です。
一日の大半を椅子で過ごすと、姿勢を支える筋肉は使われません。使われない期間が長いほど、いざ支える場面で先に音を上げます。身体活動・運動ガイドが座りっぱなしの時間に注意を促しているのも、この積み重ねが健康に響くからです。
対策は運動の時間を増やすことだけではありません。
- 1時間に一度は立ち上がる
- 立っているあいだ、片脚に体重を預けきらない
- 移動のときだけでも背中を起こす
運動の30分より、それ以外の15時間のほうが体をつくっています。トレーニングを始める前に、まずここを動かせるかを見てください。
目的を体力測定にしない
最後に一つ。この話を「体力がないから満足させられない」という文脈で受け取らないでください。
支える力は、自分が無理をしない範囲を広げるためのものです。長く続けられることと、良い時間になることは同じではありません。つらくない姿勢を選ぶことも、同じくらい有効な解決策です。時間の使い方については急がないという選択も参考になります。
よくある質問
走ったり歩いたりでは意味がないのですか?
意味はあります。ただし持久力と、姿勢を保つ力は別のものです。厚生労働省のガイドも、有酸素の身体活動とは別に筋力トレーニングを週2〜3日と示しています。両方を分けて考えてください。
毎日腹筋をすれば体幹は強くなりますか?
上体を起こす運動は腹筋の一部にしか効きません。姿勢を保つ力は、動かさずに支える種目のほうが直結します。板のように保つ姿勢や、四つん這いで手足を伸ばす種目が代表的です。
どのくらいで変化がありますか?
数週間で支えていられる時間は延びます。ただし毎日長時間やる必要はなく、週2〜3日を数か月続けるほうが結果的に長持ちします。
参考・出典
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