スキンシップから増やす|行為の前に整える接触
減った接触を戻すとき、いきなり行為に向かうと失敗します。触れることそのものを先に戻すための順番と、誘いに見えない形の作り方を整理します。
夫婦や恋人のあいだで接触が減ったとき、多くの人はまず行為の回数を数えます。しかし止まっているのは、たいてい行為より手前の部分です。
肩が触れない。隣に座らない。眠る前に何もしない。この層が抜け落ちたまま行為だけを戻そうとすると、段差が大きすぎて一度で終わります。
ここでは、行為の前に接触そのものを戻すための順番を整理します。
触れない状態は、放っておくと固まる
接触は、減ったところで止まらずにゼロへ向かいます。
- 触れないことが普通になる
- 触れると何かの合図に見えるようになる
- 合図に見えるから、触れにくくなる
- さらに触れなくなる
触れることが意思表示として扱われ始めた時点で、気軽さは失われています。 戻す作業は、この意味づけを外すところから始まります。
段差の小さいものから並べ直す
いきなり抱きしめるのではなく、負担の小さい順に並べます。
- 同じ側のソファに座る、距離を詰める
- 物を渡すときに手が触れる
- 肩や背中に一瞬だけ手を置く
- 出かけるときと帰ったときに触れる
- 眠る前のハグ
- 手をつないだまま話す
上から順に、一段ずつ日常へ戻します。 三番目で数週間止まっていても問題はありません。段を飛ばしたときだけ、相手は身構えます。
長く止まっていた二人の全体の順番については、レスから再開するための現実的な手順にも書いています。
誘いに見えない形にする
接触が誘いとして受け取られると、相手は応じるか断るかを判断する立場に置かれます。判断を迫られた側は、安全なほう、つまり断るほうへ倒れます。
そのため、次の条件を満たす場面を選びます。
- 昼間である
- 数秒で終わる
- こちらから先に離れる
- そのあとは普通の話をする
「今日は寒いね」と言いながら手を握って、すぐ離す
自分から先に離れることが、いちばん効きます。 続きがないと分かっている接触なら、断る必要がそもそもありません。
相手が固まるときに起きていること
触れた瞬間に相手が動かなくなる、避ける、という反応が出ることがあります。
このとき起きているのは拒絶とは限らず、次のどれかであることが多いといえます。
- 次に何を求められるかを警戒している
- 断ったときの空気を覚えている
- 自分のからだに自信がない
- その日の余裕がない
理由を確かめようとして問い詰めると、接触そのものが話し合いの議題になります。 反応が硬い日は引き、翌日も普通に過ごすほうが早く戻ります。断る側から見た負担は断り方の技術の側からも読めます。
触れることを、目的のままにしておく
戻ってきた接触を、これで次に進めると扱った時点で、また合図に戻ります。
- 回数を数えない
- その日にできそうかを測る材料にしない
- 触れられた日に期待を上乗せしない
接触が接触のままでいられる期間が長いほど、その先も動きやすくなります。 触れられること自体が安心につながる仕組みは、人に触れられると安心するのはなぜかでも扱っています。
それでも触れられないとき
何をしても避けられる、触れると明確に不快を示される。そこまで来ているなら、接触の技術の問題ではありません。
- 日中の関係に不満が残っていないか
- 体調や痛みの問題が隠れていないか
- こちらだけが我慢を積み上げていないか
相手が動くのを待つあいだも、自分の時間は減っていきます。 二人で話せないなら、一人で夫婦の相談窓口を使ってもかまいません。触れられないこと自体を責める必要は、どちらの側にもありません。
よくある質問
手をつなぐことすら不自然になっています。どこから始めればよいですか。
隣に座る、距離を詰めるといった、触れない段階から始めてかまいません。負担の小さい順に並べたとき、いま無理なく続けられる段が出発点になります。前の段に数週間とどまっても遅れではありません。
触れると相手が固まります。嫌われているのでしょうか。
拒絶とは限りません。次に何を求められるかを警戒している、断ったときの空気を覚えている、その日の余裕がない、といった理由のほうが多くみられます。理由を問い詰めると接触自体が話し合いの議題になります。
接触が戻れば、行為も戻りますか。
必ずしも直結しません。ただし接触がゼロのまま行為だけを戻せた例は少ないといえます。戻る保証ではなく、戻れる条件を整える作業として考えるほうが続きます。
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