夫婦・恋人間の同意|「察して」では守れないもの
関係があることは、同意があることを意味しません。日本の法律も変わりました。長い関係のなかでこそ必要な確認について。
この記事は行為をすすめるものではありません。相手や第三者の同意がない行為、公共の場での行為は法律に触れる場合があります。空想と実行は切り分けて読んでください。
長い関係の中では、いちいち確認しないことが親密さの証のように扱われがちです。しかし、確認しないことによって守られなくなるものがあります。
そして、日本の法律も変わりました。
法律の話
2023年に施行された改正により、不同意性交等罪が設けられました。同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態でなされた行為が処罰の対象となり、その具体的な事由が列挙されています。
重要なのは、婚姻関係や交際関係があることは、成立を否定しないと明確にされた点です。「夫婦だから」「恋人だから」は理由になりません。
これは、それまで曖昧に扱われてきた領域を明確にしたものです。
「察して」が機能しない理由
長い関係では、言葉を使わずに進むことが増えます。しかし、そこには2つの穴があります。
穴1:拒否のサインが見落とされる。 身体が固まる、反応がない、視線を合わせない。これらは拒否のサインですが、慣れた関係ほど「いつものこと」として処理されがちです。
穴2:断りにくさが積み上がる。 過去に断って気まずくなった経験があると、次から断れなくなります。断らなかったことが、同意したことにされていく。
同意していないが、断ってもいない状態が、長い関係でもっとも起こりやすい。
身体反応は同意ではない
繰り返し確認しておくべき点です。うるおいがあった、反応があった。これらは同意を意味しません。
身体反応と主観的な意思は独立して起こりえます。この誤解は、被害を受けた人を長く苦しめてきました。相手に対しても、自分に対しても、この推論を使ってはいけません。
確認は雰囲気を壊さない
「毎回言葉で確認するなんて」という抵抗はよく聞かれます。しかし、確認は形式的な質問である必要はありません。
- 「今日、大丈夫そう?」
- 「これ、平気?」
- 途中で相手の顔を見る
- 反応が変わったときに手を止める
これらはすべて確認です。 そして実際には、確認がある関係のほうが、委ねる側は安心して力を抜けます。確認は安心の材料であって、水を差すものではありません。
途中で撤回できる
一度始めたら最後まで、というルールはどこにもありません。同意は途中で撤回できます。
- 痛みが出た
- 気持ちが変わった
- 体調が悪くなった
いずれも、止める理由として十分です。「始めたのに」は、続ける根拠になりません。
止められる関係かどうかは、始める前に分かります。過去に止めたときの反応を思い出してみてください。
眠っているとき、酔っているとき
これも明確です。判断できない状態での同意は、同意として成立しません。
「前に許可をもらっていた」という説明も成立しません。同意はその都度のものです。
自分が断れているか確認する
読んでいて、次のどれかに心当たりがあるなら、確認する価値があります。
- 断ると機嫌が悪くなるので、応じている
- 痛くても言えない
- 途中でやめてほしいと言えない
- 断った翌日が気まずい
これらは「関係が良くない」のサインです。 性の問題としてではなく、関係の運用として話し合う対象になります。
相談できる場所
同意のない行為があった場合、関係の有無にかかわらず相談できます。
性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター #8891(はやくワンストップ)。時間が経っていても相談できます。
「夫婦だから」で諦める必要はありません。
確認する関係のほうが良い
最後に、実用的な話を。確認がある関係では、双方が安心して踏み込めます。断れる、止められる、言える。この前提があるほうが、結果的に満足度は上がります。
同意の確認は、関係を窮屈にするものではなく、広げるものです。
よくある質問
夫婦間でも罪になるのですか?
なります。2023年の刑法改正で成立した不同意性交等罪について、婚姻関係の有無にかかわらず成立しうることが明確にされています。
毎回確認するのは雰囲気が壊れませんか?
確認は言葉だけではありません。反応を見る、途中で様子を尋ねる、といった形でも成立します。むしろ確認がある関係のほうが安心して委ねられます。
断ったのに続けられた経験があります。
それは同意のない行為です。関係があることは理由になりません。相談窓口(#8891)や、法的な相談先があります。
参考・出典
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