更年期と性の変化|終わりではなく移行期として
乾き、痛み、欲求の変化。更年期に起きることには医学的な説明と対処があります。「歳だから仕方ない」で終わらせないための整理。
この記事は一般的な情報提供であり、診断・治療にあたるものではありません。痛み・出血・発熱・強い不安など気になる症状があるときは、自己判断せず婦人科を受診してください。
更年期の話題は、ほてりや発汗、気分の変動といった症状が中心に語られ、性に関する変化は後回しにされがちです。当事者にとっては切実であるにもかかわらず、相談先が見つからない。
けれど、この領域には医学的な説明と、具体的な対処があります。
何が変わるのか
閉経前後にエストロゲンが減少すると、次のような変化が起こりえます。
膣・外陰部の変化。 粘膜が薄くなり、うるおいが減り、弾力が低下します。この結果として、以前は問題なかった行為で痛みが出るようになる。乾燥感やヒリヒリ感が日常的に続く人もいます。
尿まわりの症状。 頻尿、尿もれ、性交後の膀胱炎のくり返しなど、泌尿器の症状が一緒に現れることがあります。
欲求の変化。 ホルモンの影響に加え、睡眠の質の低下、気分の落ち込み、ほてりによる疲労が重なるため、欲求が下がる人が多くなります。
逆に楽になる面もある。 妊娠の可能性がなくなること、こどもが手を離れて時間ができることで、以前より自由になったと感じる人も一定数います。
「歳だから」で止めない
この記事でいちばん伝えたいのはここです。上に挙げた症状の多くは、治療の対象になりえます。
婦人科では、症状と本人の希望に応じて選択肢が示されます。局所的なケアから全身的な治療まで幅があり、他の持病や既往によって選べるものが変わるため、自己判断ではなく相談が前提になります。
受診をためらう理由として多いのが「この歳でそんなことを相談するのは恥ずかしい」というものです。しかし日本産婦人科医会のQ&Aにも更年期の性交痛の項目があるとおり、これは想定されている相談内容です。珍しくもなければ、笑われるものでもありません。
自分でできる対処
受診と並行して、あるいは受診までのあいだにできることもあります。
- 潤滑剤を必ず使う。 我慢して摩擦をかけると、粘膜が傷つき炎症を起こします
- 時間を長く取る。 立ち上がりに以前より時間がかかるのは自然なことです
- 痛みが出たら止める。 更年期以降は特に、傷が治りにくくなります
- 保湿を日常に入れる。 行為の直前だけでなく、普段のケアとして考える
- 体位を変える。 深さや角度によって痛みが変わることがあります
パートナーとの認識合わせ
変化を説明しないままにしておくと、相手は「拒まれている」「気持ちが冷めた」と解釈します。
伝えるべきなのは3点だけです。
- からだの条件が変わったこと(気持ちの問題ではないこと)
- 痛みが出る場合があること
- 時間と潤滑剤があれば続けられること
この3点が共有されているかどうかで、その後10年の関係が変わります。
移行期として扱う
更年期は、状態ではなく期間です。数年かけて環境が移り変わり、その先には安定した時期が来ます。
その途中で「終わった」と結論を出してしまうと、対処できたはずのものまで手放すことになる。変化への対応の問題であって、終了の宣告ではないという前提で、必要な相談だけしておく。それで十分です。
よくある質問
痛みは我慢するしかないのでしょうか。
そんなことはありません。更年期以降の乾燥や性交痛には治療の選択肢があり、日本産婦人科医会のQ&Aでも項目として扱われています。婦人科・更年期外来で相談できます。
閉経したら性生活は終わりですか?
終わりではありません。ホルモン環境が変わることで条件は変化しますが、対処によって続けている人は多くいます。妊娠の心配がなくなることで、かえって楽になったという声もあります。
欲求そのものがなくなりました。
ホルモンの影響、睡眠障害、気分の落ち込みなど複数の要因が重なることがあります。困っているなら受診の対象です。困っていないなら、無理に戻す必要はありません。
参考・出典
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