骨盤底筋と感じやすさ|トレーニングで本当に変わるのか
尿もれ対策として知られる骨盤底筋トレーニング。性的な感覚との関係はどこまで言えるのか、やりすぎの弊害も含めて整理します。
この記事は一般的な情報提供であり、診断・治療にあたるものではありません。痛み・出血・発熱・強い不安など気になる症状があるときは、自己判断せず婦人科を受診してください。
骨盤底筋トレーニングは、尿もれや骨盤臓器脱の対策として広く知られています。一方で「締まりがよくなる」「感じやすくなる」といった文脈でも語られ、そこには誇張も混じっています。
わかっていることと、言い過ぎな部分を分けます。
骨盤底筋とは何をしている筋肉か
骨盤の底でハンモックのように内臓を支え、尿道・膣・肛門を取り囲んでいる筋肉群です。役割は主に3つ。
- 内臓を支える
- 排尿・排便をコントロールする
- オーガズムのときに規則的に収縮する
3つ目があるため、性的な感覚と無関係ではありません。ただし「鍛えれば感じやすくなる」と単純に言えるかは、また別の話です。
期待できること
血流が改善する。 動かす習慣がつくことで骨盤内の血流が増え、うるおいや感覚の立ち上がりに良い方向で働く可能性があります。
自分の筋肉の位置を認識できるようになる。 これが実は大きい。どこに力が入っているか分からない状態から、意識的に緩められる状態になると、緊張して力が入ったまま固まるという問題を自分で解けるようになります。
産後や加齢に伴う変化への対応。 出産や年齢によるゆるみに対して、症状の改善が期待できるとされています。
期待しすぎないほうがいいこと
「締まりがよくなって相手が喜ぶ」という語られ方は、目的として不適切です。自分の感覚のためではなく、相手の評価のために身体を改造するという発想は、続きませんし、うまくいっても満足に結びつきません。
また、鍛えれば必ずオーガズムに到達できるようになる、という因果は証明されていません。到達には緊張のなさ・時間・安心といった他の条件が絡むためです。
やりすぎの弊害
ここが最も注意すべき点です。骨盤底筋は、緩められないと困る筋肉です。
常に力が入っている状態(過緊張)になると、次のような問題が起きます。
- 挿入時に痛みが出る
- 排尿しにくくなる
- 下腹部や腰の重さが慢性化する
- オーガズムに必要な収縮が起きにくくなる
つまり、締めることだけを繰り返すと、目的と逆の結果になりえます。トレーニングは「締める→完全に緩める」の往復であって、締めっぱなしではありません。
基本的なやり方
- 仰向けで膝を立て、全身の力を抜く
- 息を吐きながら、尿を止めるときのように下から引き上げる
- 5秒ほど保つ(お腹・お尻・太ももに力が入らないように)
- 10秒かけて、完全に緩める
- 10回程度を1セット、1日2〜3セット
4が最重要です。緩める時間を締める時間より長く取ってください。
お腹に力を入れて息を止めているなら、それは腹圧をかけているだけで、逆効果になっている可能性があります。
受診・指導を検討したほうがいい場合
- すでに挿入時の痛みがある
- 尿もれが日常生活に影響している
- 出産後、下腹部の違和感が続く
- 自己流で数か月続けても変化がない
骨盤底に特化した理学療法を提供している施設があります。痛みがある状態で自己流のトレーニングを足すのは、悪化させるおそれがあるので、先に相談してください。
締めるだけでは足りない場合の考え方は、骨盤底筋は締めるだけではないにまとめています。
よくある質問
どのくらい続ければ変化を感じますか?
一般に数週間から数か月の継続が目安とされます。即効性のあるものではないため、短期間で判断しないほうが現実的です。
締めれば締めるほどいいのですか?
いいえ。常に力が入っている状態はむしろ痛みや挿入困難の原因になります。トレーニングの本質は「締める」ことではなく「締めてから完全に緩める」ことです。
やり方が合っているかわかりません。
産婦人科や理学療法士による骨盤底筋の指導を行っている施設があります。自己流で腹圧をかけていると逆効果になるため、不安があれば一度指導を受けると確実です。
参考・出典
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