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からだと反応のしくみ

産後のからだと性|戻らない不安との付き合い方

痛み、乾き、欲求の消失、そして相手との温度差。産後に起きる変化には理由があり、多くは時間と対処で扱えます。

この記事は一般的な情報提供であり、診断・治療にあたるものではありません。痛み・出血・発熱・強い不安など気になる症状があるときは、自己判断せず婦人科を受診してください。

産後の性について、多くの人が同時に3つの問題を抱えます。からだが変わったこと、欲求が消えたこと、そして相手との温度差です。この3つは原因が別なので、分けて考えたほうが解けます。

からだの変化には理由がある

乾きやすくなる。 授乳中はホルモン環境が変わり、うるおいが減りやすいことが知られています。これは体質でも気持ちでもなく、時期的なものです。潤滑剤を使うことが、そのまま解決策になります。

痛みが出る。 会陰の傷、帝王切開の傷、骨盤底の状態、乾燥。原因は複数ありえます。一度でも強い痛みを経験すると、次から緊張が先に来て、さらに痛くなるという循環に入りやすい。この循環は自然には切れません。

感覚が変わる。 一時的に鈍い、逆に過敏、といった変化が起きることがあります。多くは時間とともに落ち着きますが、期間には個人差があります。

欲求が消えるのは異常ではない

産後に欲求がなくなることには、いくつもの理由が同時に働いています。

  • 睡眠が細切れで、慢性的に疲労している
  • ホルモン環境が大きく変わっている
  • 一日中こどもに触れていて、触覚がすでに満腹になっている
  • 一人になれる時間がゼロ
  • 自分のからだへの違和感が残っている

3つ目は語られる機会が少ないのですが、実感として強い人が多い項目です。抱っこ、授乳、寝かしつけと一日中肌が接している状態が続くと、さらに触れられることが負担になる。これは相手への感情とは無関係の、感覚の飽和です。

相手との温度差をどう扱うか

ここでこじれるかどうかが、その後を大きく分けます。

伝えるときに効果があるのは、理由を先に置くことです。

「あなたが嫌なわけじゃない。今は痛みがあって(/触覚が限界で)、そこが解決しないと難しい」

拒絶として伝わると、相手は自分が求められていないと解釈します。条件として伝わると、一緒に解決する問題になります。同じ「今日は無理」でも、着地がまったく違います。

そのうえで、性的でない接触を残しておくことをすすめます。手をつなぐ、並んで座る、短いハグ。これが残っていると、再開のハードルが大きく下がります。完全に接触がゼロになった状態から戻すのは、その何倍も難しい。

再開するときの順序

  1. 健診で身体的な問題がないことを確認する
  2. 痛みが出ない範囲(触れるだけ、外側だけ)から始める
  3. 潤滑剤を最初から使う
  4. 痛みが出たらその場で止める(我慢しない)
  5. 一度で完結させようとしない

4を守れるかどうかが分岐点です。我慢して続けると、からだが「この行為=痛い」と学習し、その学習を消すのに何倍も時間がかかります。

受診の目安

  • 痛みが数か月以上続く
  • 出血がある
  • 傷のあたりに引きつれ感が残る
  • 尿もれが続く
  • 気分の落ち込みが強く、日常が回らない

最後の項目は産後うつの可能性を含みます。性の悩みとして扱う前に、そちらの相談を優先してください。

「戻す」より「作り直す」

産後のからだは、出産前と完全に同じにはなりません。それを喪失として扱うと苦しくなります。

条件が変わったのだから、やり方も変わる。時間のかけ方も、道具も、頻度も、以前と同じである必要はありません。戻すのではなく、今の条件で作り直すという発想のほうが、実際にはうまくいきます。

運動から戻していく手順は産後にピラティスを始めるならにまとめています。

よくある質問

いつから再開していいですか?

一般には1か月健診で経過を確認してから、というのが目安とされますが、出産の経過によって異なります。健診の際に医師へ確認してください。時期を満たしていても、本人が望まなければ再開する義務はありません。

痛みが半年以上続いています。

時間が解決する範囲を超えています。会陰の傷、ホルモンによる乾燥、骨盤底の状態など原因が複数ありえます。産婦人科で相談してください。

授乳中は濡れにくいと聞きました。

授乳期はホルモン環境の影響でうるおいが減りやすいことが知られています。体質や気持ちの問題ではないため、潤滑剤の使用が現実的な対処になります。

参考・出典