筋トレとホルモンの話は、どこまで信じていいか
テストステロンが増えるから性欲が上がる、という説明が広く出回っています。何が言えて何が言えないのか、線を引いておきます。
この記事は一般的な情報提供であり、診断・治療にあたるものではありません。痛み・出血・発熱・強い不安など気になる症状があるときは、自己判断せず婦人科を受診してください。
筋力トレーニングの話題では、ホルモンの説明がよく登場します。テストステロンが増える、だから活力が戻る、性欲も上がる。
わかりやすい説明ですが、その途中がかなり省略されています。省略された部分に、期待と現実のずれが詰まっています。
何が確からしくて、何が確からしくないか
| 主張 | 確からしさ |
|---|---|
| 運動の直後にホルモンの値が変動する | 知られている |
| 運動の習慣が全身の健康に有益である | 公的に示されている |
| その変動で日常の性欲が上がる | 単純には言えない |
| 特定の種目でよく上がる | 断定できる根拠は乏しい |
| サプリメントで上げれば性欲が戻る | 期待できない |
上の2つと下の3つのあいだに、大きな段差があります。段差を飛び越えた説明は、たいてい何かを売っています。
厚生労働省が言っているのはここまで
身体活動・運動ガイドが示しているのは、成人に対して筋力トレーニングを週2〜3日取り入れること、歩行と同等以上の身体活動を1日60分以上といった水準です。
これは健康づくりのための推奨であって、性機能を高める処方ではありません。この事実を知っておくだけで、過剰な広告に引っかかりにくくなります。
女性の場合
女性がトレーニングをするとホルモンの関係で男性的になる、という懸念を聞くことがありますが、通常の範囲のトレーニングでそうはなりません。
むしろ女性で注意すべきなのは逆方向です。詳しくは鍛えるほど性欲が落ちると痩せて生理が止まったで扱っています。トレーニング量に食事が追いつかないと、生殖に関わる働きが後回しにされ、周期が乱れ、性欲も落ちます。足りないことのほうが、はるかに起きやすい。
サプリメントの扱い
ホルモンを上げると謳う商品は多く出回っています。ここで押さえるべき前提が二つあります。
一つは、食品に医薬品のような効能効果をうたうことは法律上できないということ。そう読める表現が使われている場合、表示の枠を超えています。
もう一つは、成分ごとの情報は公的なデータベースで確認できるということです。医薬基盤・健康・栄養研究所が運営する「健康食品」の安全性・有効性情報では、成分ごとに知られている情報と、注意が必要な報告が整理されています。買う前に成分名で調べる習慣を持つだけで、無駄な出費と健康被害を減らせます。
効いているのは、もっと地味なもの
トレーニングを続けた人が性の面で変化を感じるとき、その理由はホルモンの数値より、次のようなものであることが多い。落ちた原因の切り分けは性欲がなくなったと感じたらにまとめています。
- 眠れるようになった
- 気分の落ち込みが減った
- 自分の体を否定的に見る時間が減った
- 疲れにくくなった
地味ですが、こちらのほうが実感につながります。数値の話に乗らないほうが、続けたときの満足も大きくなります。
期待の置き場所
まとめると、筋力トレーニングは条件を整える手段としては有効で、性欲を直接引き上げる装置ではありません。
この理解で始めれば、変化があってもなくても続けられます。逆に、数か月で性欲が戻ることを目標に置くと、達成できなかったときにやめてしまう。目的の設定が、続くかどうかを決めます。
よくある質問
筋トレをすればテストステロンは増えますか?
運動の直後に一時的な変動が起きることは知られていますが、その変化が日常の性欲をどれだけ左右するかは単純ではありません。トレーニングをすれば性欲が上がると保証できる根拠にはなりません。
女性が筋トレをすると男性的になりますか?
通常の範囲のトレーニングでそうなることはありません。声や体毛に明らかな変化が出る場合は、トレーニング以外の要因を疑ってください。
ホルモンを上げるサプリメントは有効ですか?
食品に医薬品のような効能効果をうたうことは認められていません。成分ごとの情報は公的なデータベースで確認でき、安全性の情報が十分でないものも多くあります。
参考・出典
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