「骨盤の歪みが性交痛の原因」は本当か|説明を受けたときの考え方
骨盤を整えれば痛みが取れる、感じやすくなる。こうした説明はよく聞きますが、根拠の確かさには差があります。判断の材料を並べます。
この記事は一般的な情報提供であり、診断・治療にあたるものではありません。痛み・出血・発熱・強い不安など気になる症状があるときは、自己判断せず婦人科を受診してください。
性交痛の相談で、整体やカイロプラクティックの説明を受けたという話がよく出ます。骨盤が歪んでいる、左右差がある、だから痛む。図まで見せられると、説得力があるように感じられます。
ここでは、その説明を受けたときにどう扱えばいいかを整理します。否定でも肯定でもなく、順番の話です。
まず消しておくべき原因がある
痛みには、確かめる方法がある原因が先にあります。
| 原因 | 特徴 |
|---|---|
| 乾き・潤滑の不足 | 前戯の時間や状況で差が出る |
| 炎症や感染 | かゆみ、おりものの変化、においを伴う |
| 子宮内膜症など | 奥が痛む、生理痛も重い |
| 骨盤底の過緊張 | 入口で止まる、指も入りにくい |
| 痛みへの身構え | 一度痛かった相手・場面で強くなる |
これらは婦人科で確かめられます。原因の分類は性交痛の主な原因と受診の目安、入口で止まる場合は腟けいれんという状態を知るを参照してください。骨格の話は、この後で出てくる話です。順番を入れ替えると、進行するものを見逃す危険があります。
厚生労働省は、資格制度のない施術について、適切な医療を受ける機会が遅れないようにすることを取扱いとして定めています。受診の遅れは、行政も懸念している論点です。
説明の見分け方
施術者の説明を聞くときのチェックポイントを挙げます。
- 「治る」「治療する」と言っているか(資格制度のない施術では、この言い方には注意が必要)
- 婦人科の受診を勧めるか、それとも不要だと言うか
- 通う回数と期間を、最初に大きく提示してくるか
- 効果の説明が、体験談だけで構成されていないか
- 体に触れる場所と目的を、事前に説明するか
2つ目が重要です。受診を止める説明が出てきたら、そこで距離を置いてください。まっとうな施術者は、判断できない領域があることを認めます。
それでも整体が役に立つ場面
役に立たないという話ではありません。次のような場面では、噛み合うことがあります。
- 腰や股関節の張りで、特定の体位がつらい
- 姿勢の癖で、終わったあとに痛みが残る
- 全身の緊張が強く、力の抜き方がわからない
つまり、痛みの治療ではなく、負担の軽減として使う場合です。この目的なら、期待と結果がずれません。姿勢の癖については反り腰・巻き肩と体位のつらさにまとめています。
気持ちよさの正体を否定しない
施術を受けて楽になるのは、思い込みだけではありません。人に触れられることや、緊張がゆるむこと自体に、その場での効果はあります。
問題は、その体験を原因の説明として受け取ってしまうことです。楽になったことと歪みが原因だったことは、別の主張です。
使い分けの結論
判断に迷ったら、次の順で考えてください。
- 痛みが繰り返すなら、まず婦人科で原因を確かめる
- 医療側で対応する原因がないと分かってから、体の使い方に手をつける
- 施術を受けるなら、持病や妊娠の可能性を必ず伝える
- 施術後に異常があれば、施設に伝えたうえで医師に相談する
この順番を守れば、整体は選択肢の一つとして問題なく置けます。先に置くか後に置くかだけで、安全性がまるで変わります。
よくある質問
骨盤の歪みという状態はないのですか?
骨盤の傾きや左右差は実際にあります。ただ、それが性交痛の原因だと確かめる方法は簡単ではなく、施術で痛みが取れると保証できるものでもありません。あるかないかではなく、原因として断定できるかが論点です。
施術を受けたら実際に楽になりました。
楽になること自体を否定する必要はありません。ただ、痛みの原因が別にある場合、一時的に軽くなることで受診が遅れることがあります。楽になっても、繰り返す痛みなら一度は確かめてください。
婦人科で異常なしと言われたのに痛みます。
そういうことはあります。骨盤底の過緊張、乾き、痛みへの身構えなどは、検査の画像には映りません。異常なしは終わりではなく、次の段階に進む合図だと考えてください。