性感染症の基礎|症状が出ないものが一番こわい
気づかないまま進行し、将来の妊娠に影響することもあります。主な感染症と検査の受け方を、判断できる形でまとめます。
この記事は一般的な情報提供であり、診断・治療にあたるものではありません。痛み・出血・発熱・強い不安など気になる症状があるときは、自己判断せず婦人科を受診してください。
性感染症について、もっとも危険な誤解は「症状が出るから分かる」というものです。
女性では自覚症状が出にくい感染症があります。 気づかないまま進行し、骨盤内の炎症や、将来の妊娠に影響が及ぶことがある。この点が、この話題の核心です。
主なものと、女性に出やすい症状
厚生労働省が挙げている主要な性感染症を中心に整理します。
| 感染症 | 女性での特徴 |
|---|---|
| 性器クラミジア感染症 | 自覚症状が出にくい。おりものの増加や軽い下腹部痛程度のことも。進行すると卵管に影響が及ぶことがある |
| 淋菌感染症 | 症状が出にくいことがある。おりものの変化、排尿時の違和感 |
| 性器ヘルペス | 水ぶくれ・潰瘍と強い痛み。再発をくり返すことがある |
| 尖圭コンジローマ | いぼ状の隆起。痛みは乏しいことが多い |
| 梅毒 | 近年増加。初期はしこりや発疹が出て、放置すると消えることもあるが治ってはいない |
梅毒については、症状が自然に消える段階があるため「治った」と誤解されやすい点に注意が必要です。
検査のタイミング
- 心当たりのある機会があったとき
- パートナーが変わったとき
- 妊娠を考えているとき
- 症状があるとき
感染からすぐは検査で検出されない期間(ウィンドウ期)があるため、心配な機会の直後ではなく、一定期間をおいてから受けるのが確実です。適切な時期は感染症ごとに異なるため、受診時に確認してください。
どこで受けるか
保健所。 地域によって匿名・無料で受けられる検査があります。項目は自治体により異なります。
医療機関(婦人科・泌尿器科など)。 症状があるなら、こちらが確実です。検査と治療が一連で進みます。
郵送検査。 手軽ですが、陽性だった場合は結局受診が必要です。また、検体の採取が適切でないと結果の信頼性が落ちます。入口としては使えますが、結論には使えないと考えてください。
治療は「二人で」が原則
細菌によるものの多くは、適切な薬で治療できます。ただし、片方だけ治療しても、もう一方が持っていれば再び感染します(ピンポン感染)。
パートナーに伝えるのは気が重いことですが、伝えないと治療が完了しません。伝え方としては、責任の所在を追及する形にしないほうが進みやすい。
「検査でこれが出た。二人とも治療が必要だから、受診してほしい」
誰からうつったかの特定は、多くの場合できませんし、治療には必要ありません。
予防でできること
コンドームを最初から最後まで使う。 途中からでは意味が薄れます。粘膜同士の接触を減らすことが基本です。
オーラルでも感染する。 のどへの感染は見落とされやすい経路です。
ワクチンで防げるものがある。 子宮頸がんの原因となるHPVについてはワクチンがあり、定期接種の対象年齢やキャッチアップ接種の枠組みがあります。対象や条件は変わることがあるため、自治体の情報を確認してください。
定期的に検査を受ける。 症状に頼らないという意味で、これが最も確実な方法です。
恥ずかしさより、時間のほうが高くつく
この領域で最大の障害は、受診の恥ずかしさです。しかし、放置して起きることのほうが取り返しがつきません。
医療機関では日常的に扱われている相談であり、判断されることもありません。早く受けるほど、選べる治療も、失うものも少なくて済みます。
よくある質問
症状がなければ検査は不要ですか?
不要ではありません。女性では自覚症状が出にくい感染症があり、症状の有無は感染の有無を示しません。心当たりのある機会があれば、症状がなくても検査を検討してください。
どこで検査を受けられますか?
婦人科・泌尿器科などの医療機関のほか、保健所で匿名・無料の検査を実施している地域があります。厚生労働省のページから情報をたどれます。
パートナーにも検査を勧めるべきですか?
そうです。片方だけが治療しても、再び感染し合う状態が続きます。同時に治療するのが原則とされています。