セックスで痛い|性交痛の主な原因と受診の目安
痛みは我慢して慣れるものではありません。入口の痛みと奥の痛みでは原因が違います。原因別に整理し、受診すべきラインを示します。
この記事は一般的な情報提供であり、診断・治療にあたるものではありません。痛み・出血・発熱・強い不安など気になる症状があるときは、自己判断せず婦人科を受診してください。
痛みを我慢して続けている人は、想像よりずっと多くいます。「そういうものだと思っていた」「言い出せなかった」「慣れると聞いた」。
まずここをはっきりさせます。痛みは慣れて消えるものではありません。 そして、痛みを我慢して続けることには具体的な害があります。
我慢の害
一度でも強い痛みを経験すると、次の機会にからだが先に身構えます。骨盤底に力が入り、うるおいの準備も進まないまま進行するため、前回より痛くなる。この循環は自然には止まりません。
さらに、痛みの記憶が積み上がると、その行為自体への欲求が失われます。「相手が嫌いになったわけではないのに、したくない」という状態の背景に、この循環があることは珍しくありません。
痛む場所で原因が分かれる
入口・浅い部分の痛み
- うるおい不足:時間が足りない、授乳中、更年期、服薬の影響
- 腟けいれん:緊張により筋肉が反射的に収縮し、挿入自体が困難になる状態
- 炎症・感染:カンジダ、細菌性腟症など。かゆみ・おりものの変化を伴うことが多い
- 皮膚の問題:外陰部の湿疹、萎縮性の変化
- 傷:出産時の会陰の傷、手術痕
奥・深い部分の痛み
- 子宮内膜症:生理痛が重い、経血量が多いといった症状を伴うことがある
- 子宮筋腫・卵巣の問題
- 骨盤内の炎症
- 体位や角度:子宮の位置は周期によって変わるため、同じ体位でも日によって痛みが変わる
奥の痛みは、体位の調整だけで済ませないほうがよい領域です。生理痛が年々重くなっている、経血量が増えたといった変化を伴う場合は特に、一度診てもらう価値があります。
すぐに受診したほうがいいサイン
- 痛みが毎回ある
- 性交後に出血する
- 生理痛が年々ひどくなっている
- 発熱や強い下腹部痛を伴う
- おりものの色やにおいが明らかに変わった
- 痛みで日常生活にも支障が出ている
これらは工夫の範囲を超えています。
受診まで、あるいは受診と並行してできること
潤滑剤を最初から使う。 摩擦を減らすだけで解決するケースは相当あります。
時間を大幅に増やす。 準備ができる前に進むことが、入口の痛みの最大の原因です。
痛みが出たらその場で止める。 これが最も重要です。「もう少しだけ」を積み重ねると、循環に入ります。
体位を変える。 深さを自分で調整できる体位(自分が上になる、横向き)だと、痛みの回避がしやすくなります。
外側だけの時間を作る。 挿入を伴わない時間を持つことで、行為=痛みという学習を弱めることができます。
相手への伝え方
責める形にすると、相手は防御に回ります。原因を身体側に置いて伝えるのが実用的です。
「痛みが出るから、途中で止めることがある。あなたが下手とか、嫌いとかではなくて、からだの側の問題だから、病院で見てもらう」
そのうえで、止めたときに不機嫌にならないことを明確に約束してもらってください。これが確保されていないと、次から我慢が始まります。
相談は想定内のこと
婦人科でこの相談をするのは、まったく珍しいことではありません。日本産婦人科医会のQ&Aにも性交痛の項目があり、想定された相談内容として扱われています。
「こんなことで受診していいのか」という迷いで数年を失う人がいます。痛みは受診の理由として十分です。
からだの硬さとの関係は股関節がかたいと挿入が痛いのか、施術で骨盤の歪みが原因だと説明された場合は骨盤の歪みと性交痛の関係で扱っています。
よくある質問
痛いのが普通だと思っていました。
普通ではありません。痛みは何らかの原因があるサインです。慣れれば消えるという考え方で我慢を続けると、緊張が加わってさらに痛くなる循環に入ります。
婦人科で何と言えばいいですか?
「性交時に痛みがあります」で十分伝わります。加えて、入口か奥か、いつからか、毎回かどうかを伝えると診察が早く進みます。
相手に言うと傷つけてしまいそうです。
我慢して続けるほうが、結果として関係を損ないます。「あなたのせいではないが痛みが出る」と原因を分けて伝えると、責任の押し付け合いになりにくくなります。