整体には国家資格がない|通う前に知っておく基礎
白衣を着て、体の説明をして、施術をする。医療機関に見えますが、整体とカイロプラクティックには法的な資格制度がありません。事故の統計も公表されています。
この記事は行為をすすめるものではありません。相手や第三者の同意がない行為、公共の場での行為は法律に触れる場合があります。空想と実行は切り分けて読んでください。
体の不調で整体に通っている人は多く、性の悩みの相談でも「整体で骨盤を診てもらっている」という話がよく出てきます。
その前提として、制度上どういう位置づけなのかを知っておいてください。ここを知らないまま通うと、判断の材料が足りません。
資格があるものと、ないもの
手による施術は、法的な資格制度があるものと、ないものに大きく分かれます。
| 区分 | 例 |
|---|---|
| 法的な資格制度がある | あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう、柔道整復 |
| 法的な資格制度がない | 整体、カイロプラクティック、リラクゼーションマッサージなど |
上の区分は、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律などで定められており、養成施設で3年以上の教育を受けて国家試験に合格した人だけが業として行えます。施術所を開くときは届出も必要です。
いっぽう、整体やカイロプラクティックにはこの制度がありません。民間の認定は存在しますが、国が定めた基準ではないため、技術の水準や施術の内容は事業者によってまちまちです。
事故は実際に報告されている
消費者庁は平成29年5月26日に、法的な資格制度がない医業類似行為について注意喚起を公表しています。
そこでは、こうした施術による事故の情報が1,483件寄せられており(平成21年9月から平成29年3月末までの登録分)、そのうち治療期間が1か月以上の重症となる事故が240件、全体の約16パーセントを占めると示されています。
総務省行政評価局も、医業類似行為等による事故の対策について行政評価・監視を行っています。行政が継続して注意を向けている領域だということです。
通うときに踏む手順
否定するための情報ではありません。使うなら、次の手順を踏んでください。消費者庁の注意喚起で示されているものとほぼ同じです。
- 持病がある人は、施術を受ける前に医師に相談する
- 施術者や施術内容を、情報を確かめたうえで選ぶ
- 自分の体調と希望を、施術者にしっかり伝える
- 施術後に異常を感じたら、施設に伝え、早めに医師に相談する
- トラブルが解決しないときは、消費生活センターに相談する
とくに1つ目が抜けやすい。妊娠中、出産直後、骨の状態に不安がある場合は、受けてよいかどうかを先に確かめるべき場面です。
性の悩みを整体で解決しようとするとき
「骨盤の歪みが原因です」「自律神経を整えれば戻ります」といった説明を受けることがあります。
こうした説明で治療の対象になる病気が見落とされると、対応が遅れます。厚生労働省は、資格制度のない施術について、適切な医療を受ける機会が遅れないようにする取扱いを定めています。遅延の防止が、明確に論点として置かれているということです。
痛み、出血、周期の乱れ、強い違和感といった症状があるなら、先に医療機関で原因を確かめてください。受診の流れは婦人科に行くのが怖い、骨盤の説明の扱いは骨盤の歪みと性交痛の関係で扱っています。整体はその後です。
判断のための一文
まとめると、こうなります。
気持ちよくなるために通うのは自由、診断や治療の代わりに使うのは危険。この線を自分の中に引いておけば、大きく外すことはありません。
よくある質問
整体師は無資格なのですか?
民間の団体が出す認定はありますが、国家資格として法律で定められた制度はありません。あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう、柔道整復には国家資格の制度があり、この点が異なります。
事故はどのくらい起きていますか?
消費者庁が平成29年5月に公表した注意喚起では、法的な資格制度がない施術による事故情報が1,483件寄せられており、そのうち治療期間が1か月以上の重症となる事故が240件、全体の約16パーセントを占めるとされています。
通ってはいけないということですか?
そうではありません。制度上の位置づけを知ったうえで選び、体調や持病を伝え、異常があれば医師に相談するという手順を踏んでください。持病がある人は施術の前に医師に相談することが勧められています。