股関節がかたいと挿入が痛いのか|ヨガでゆるめる前に確認したいこと
開脚できないから痛いのだと思い込んで、股関節のストレッチばかり続けている人がいます。痛みの原因は別のところにあることが多く、順番を間違えると悪化します。
この記事は一般的な情報提供であり、診断・治療にあたるものではありません。痛み・出血・発熱・強い不安など気になる症状があるときは、自己判断せず婦人科を受診してください。
「自分は硬いから痛いのだ」。性交痛の相談で、こう考えている人はとても多い。そして開脚のポーズを毎晩がんばる、という方向に進みます。
けれどからだの柔らかさと、痛みの有無は同じものではありません。開脚が得意な人でも痛む人はいますし、硬くてもまったく痛まない人がいます。順番として先に確かめるべきことがあります。
痛みの場所で、考える原因が変わる
まず、どこが痛いのかを分けてください。ここを曖昧にしたまま柔軟性の話をしても進みません。
| 痛む場所 | 考えられること | 柔軟性との関係 |
|---|---|---|
| 入口のあたり | 乾き・力み・炎症・傷 | ほぼ関係しない |
| 奥のほう | 子宮や卵巣の状態・当たる角度 | 体位の選択で変わる |
| 股関節そのもの | 開く角度の限界・関節の問題 | 関係する |
| 腰や太もも | 姿勢の維持による負担 | 関係する |
ヨガで変わる見込みがあるのは下の2つです。上の2つは、伸ばして解決するものではありません。とくに奥が痛む場合は、婦人科の領域だと考えてください。子宮内膜症など、放置すると進行するものが含まれます。
硬さより、力が抜けないことのほうが問題になりやすい
実際の相談でよくあるのは、可動域の狭さではなく、痛みを予期して先に力が入ってしまう状態です。
一度痛い思いをすると、次から入口のまわりに力が入ります。力が入ると入口は狭くなり、うるおいも足りず、また痛い。そしてさらに身構える。この輪の中にいるとき、股関節のストレッチはほとんど効きません。ゆるめるべき場所が違うからです。
この場合に役立つのは、伸ばす動きより息を吐く時間を長くする動きです。考え方は呼吸と力の抜き方と同じです。腹式の呼吸をしながら、太ももの内側の力が抜けているかを確認する。抜けない場所を探す作業だと考えるとやりやすくなります。
ヨガで期待できる範囲
そのうえで、股関節まわりの柔軟性が上がると得られるものはあります。
- 選べる体位が増える(片脚を高く上げる姿勢が楽になる)
- 同じ姿勢を保っていられる時間が延びる
- 終わったあとに腰や脚がつらくならない
つまり痛みを消す効果というより、選択肢が増える効果です。この理解で始めるなら、ヨガは十分に役に立ちます。
やり方の注意も一つだけ。反動をつけて開かないでください。時間をかけて呼吸とともに沈めるほうが安全で、結果も出ます。痛気持ちいいところで止め、痛いところまで行かない。これは寝室でも同じ原則です。
受診したほうがいい痛み
次に当てはまるなら、柔軟性の話は後回しにしてください。
- 毎回痛む、または回数を重ねるほどひどくなる
- 出血を伴う
- 生理のときの痛みも重く、鎮痛薬が効きにくい
- 奥を突かれると強く痛む
- 挿入そのものができない、指も入らない
最後の状態には腟けいれんという名前がついており、これは意思の力や柔軟性の問題ではありません。婦人科で相談できます。原因の全体像は性交痛の主な原因と受診の目安にまとめています。
硬さを責めない
からだが硬いことを自分の欠点のように語る人は多いのですが、痛みの原因としては優先順位が低い項目です。
先に原因を確かめ、そのうえで動かす。この順番なら、ヨガは味方になります。逆にすると、痛みの原因を放置したまま自分を責める時間が増えるだけです。
よくある質問
開脚ができるようになれば痛みは消えますか?
消えるとは限りません。股関節の可動域が広がると楽になる体位はありますが、入口の乾き・炎症・骨盤底の過緊張・子宮内膜症などが原因の痛みは柔軟性とは関係がありません。痛みが続くなら婦人科で原因を確かめてください。
ストレッチで痛みが増した気がします。
反動をつけて伸ばすと筋を痛めることがあります。また、痛みへの不安が強い状態で無理に開くと、かえって骨盤まわりに力が入りやすくなります。伸ばす方向を変えるか、いったんやめてください。
どのくらいの期間で変化を見ればいいですか?
柔軟性の変化は数週間単位です。ただし性交痛の原因調べは並行して進めてください。ストレッチを試す期間を、受診を先送りする理由にしないことが大切です。